雲と風と―伝教大師最澄の生涯 (中公文庫)



雲と風と―伝教大師最澄の生涯 (中公文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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珍しい伝教大師の歴史小説

空海と違って地味なイメージの最澄をとりあげた歴史小説。史料を踏まえるのは勿論だが、足で稼いだ情報とインスピレーションがちりばめられている。

マキャベリの数百年前に生きた平安時代の政界人をマキャベリストと評したりするのはいただけないが(☆一つ減)、史料の不足しているところは思い切って想像を膨らまして、小説の利点をちゃんと活かしていて最後まで面白く読むことができる。

最澄を知ろうとして天台教学に押し潰された人は、この小説からやり直してみると良いかもしれない。
その名の通りに生きた人−最澄−

同時代の天才・空海に押されがちなイメージの拭えない伝教大師・最澄。
政治の舞台が奈良から京都へ変わっていった平安時代初期、仏教もまた
変貌を遂げようとしていた、そんな時代の中で生まれた最澄の生涯を
余すところなくとらえた名著。

小説として読んでももちろん面白いが、最澄という人となりをとらえるため
に、大学の聴講生として経典を学びその足跡を自身でも歩いた永井女史の熱
意を思うとき、もはや「歴史小説」というひとくくりでは言い表せないもの
をこの作品に感じることができると思う。

最澄という人の生涯に惹かれて大学をも決めてしまった私にとってはまさに
かけがえのない1冊。興味を持たれた方にはぜひ読むことをオススメしたい。



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